■最終話が酷評に終わった名作GANTZ

今更ですが、GANTZの最終回をやっと見終わりました。

大好きな漫画でずっとほぼリアルタイムで見ていたのですが、カタストロフィ編に入ってから連載ペースが週刊でなくなり、いつの間にか離れてしまいました。

という理由で、先日やっとカタストロフィ編から最終回までを一気に読破しました。

感想は、

「え、これで終わり!?」

でした。。。何ともあっさりしているというか、あの名作漫画の最終回がこれですかって感じです。

フルコースのフランス料理の最後のデザートでコンビニで売っているようなアイスが出てきたような、なんとも物足りない気持ちが残りました。


gantz-last

思わずネット上の評価を確認すると、やはり世論も同じ評価みたいです。

【ネタバレ】GANTZの最終回ヤバ過ぎワロタwwwwwwwwwwwwwww ...

最終回が酷すぎる!?終わり方が意味不明な漫画6選 | 漫画ネタバレ・考察王

ガンツの最終回wwwwwwwwww



中には別に悪くないって評価している人もいるけれど、圧倒的少数派みたいです。

GANTZって漫画を全巻読んだけど最終回の評判が納得できない



■酷評の原因は?

物語的には、敵の親玉を倒してハッピーエンドなのですが、この物足りなさの正体は何なのでしょうか?

簡単に流れをまとめましょう。

玄野が巨人の頭に特攻

頭ぶち抜かれて巨人死亡

ガンツUFOで爆発する宇宙船から脱出

地球に帰還

「ありがとおおおお」「玄野ありがとおおおおお」 加藤は弟と、玄野はたえちゃんと抱き合っておしまい

出典【ネタバレ】GANTZの最終回ヤバ過ぎワロタwwwwwwwwwwwwwww:MAG速

こうして流れだけ見てみると、悪くないんですよね。

どうやらストーリーじゃなくて別のところに問題があるのだと思います。


■作者は最終回に何を意図していたのか

この最終回について、作者である奥浩哉氏のインタビューが単行本の巻末に掲載されています。

――「GANTZ」でオマージュしている部分はどのあたりでしょう?
奥:宇宙からの侵略者に対して、別の宇宙人の技術を使って備えていたというところが大枠では
そうですね。あとは特に最終回。
「ザンボット3」では砂浜に神勝平が乗った頭部だけが落ちてきて、
そこにそれまで彼に好意的じゃなかった人々が集まってきて感謝すると。
で、ヒロインが2人いるん
ですけど、その内のかわいい方は爆弾にされて死に、
おカッパでぽっちゃりの地味な方が生き残って、
彼女の膝枕で主人公がその状況に呆然とした表情で終わるという。それをほぼそのままやってま
すね。もうかなり前から終わりは大好きな
「ザンボット3」のオマージュにしようと決めていたんです。
あれが僕のアニメの理想的な終わり方だったんですよ。

出展GANTZ完結記念、奥浩哉インタビューwwwww 最初から『ザンボット』をパクル気満々でしたw

ザンボット3のオマージュとのことです。

というわけでザンボット3の最終話を見てみましたが、本当にそっくりなんですよね。
砂浜で女の子の膝の上で主人公が抱かれてて、人々が集まってくるという、ほとんど同じです。

気になる方のためにニコニコ動画で見れるのでリンク載せておきます。
(2020年8月現在、削除されてしまっているようです。どこか見れるリンクご存知だったらコメントで教えてもらえると嬉しいです。)




では、ザンボット3の最終回も同じように酷評されているのかというと、どうやらそんなことはなく、アニメ屈指のラストシーンとして評価されています。
場面変わって、日本の砂浜。ザンボエースの落下地点に駆けつけたガールフレンドのミチと香月は
砂浜で眠る勝平を見守ります。
勝平の生還を聞き、押し寄せる人々を前にそっと目を覚ます勝平。何かをいおうと口を開く
ところでEDテーマが流れ、ラストとなります。
アニメ屈指のラストシーンでした。

参照ザンボット3の最終回ってどんなんなんですか? - Yahoo!知恵袋:
ほぼ同じようにオマージュしたGANTZなのに、どうして一方の評価は屈指のラストシーンなのに対して、こちらの評価は酷評されてしまったのでしょうか。



■GANTZとザンボット3の最終回の違い

僕の考えている結論からお伝えしますと、GANTZとザンボット3の最終回の演出の最大の違いは“時間”です。

具体的には、見る者の時間です。

ザンボット3では、海から岸に上がったあと主人公が戦いが終わって助かったことが分からずに涙するシーンなどが1分以上あり、その後で人々が押し寄せてきてエンディングテーマが約3分流れます。

この合計4分の時間がいい余韻となり、今までのストーリーが感傷的に思い起こさせられる演出となっているのです。

それに対してGANTZの最終回はどうでしょうか。

dassyutu


ガンツUFOで爆発する宇宙船から脱出 (見開き2ページ)

地球に帰還して
玄野と加藤の海の上での会話 (見開き2ページ)

二人が流れ着いて陸地に上がって加藤は弟と、玄野はたえちゃんと抱き合う(4ページ)

「ありがとおおおお」「玄野ありがとおおおおお」(見開き2ページ)



脱出から終わりまでが一瞬なんです。おそらく、読者はこれを20秒弱くらいで読んでしまうと思います。


■見る者の時間をコントロールできなかったGANTZの最終回


名作GANTZの魅力のひとつは、ページがどんどんめくられてダイナミックな描写が展開するというスピード感でした。

そのスピード感が、最終回では逆に仇となってしまいました。

ザンボット3の1分+3分の合計4分に対して、GANTZは約20秒で終わってしまったことが、酷評の原因です。

このラストの演出には、陸に上がってから1話分くらいのページを使う必要があったのです。

また、同じページ数で演出するとしたら、最終話の宇宙船からの脱出の後だけはページをどんどんめくれないようにセリフを多めにしたりコマ割りを細かくするなど、何らかの演出をする必要がありました。

このどちらかの方法で、見る者にせめて脱出から1分以上は時間を使わせるように描けたら、GANTZの最終回の評価は大きく違っていたことでしょう。

試しに、GANTZの脱出以降を4分かけてじっくり見てみてください。自分の中の評価が大きく変わるはずです。

GANTZ 37【電子書籍】[ 奥浩哉 ]
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